帰宅出来ない

 11日の巨大地震では東京でも交通機関がマヒしたために都心から自宅に帰宅できない方が大勢いらっしゃいました。

 都心に取り残された人たちが徒歩で歩き始め、歩道は人の波で埋め尽くされたそうです。

 12日の土曜日仕事を始めてみると、来院されて来る多くの方が明け方に帰宅した人たちです。

なかにはさっきまで帰宅できなかった人たちに毛布や食料を供給していたという社長さんもいらっしゃいました。

自宅で家族の帰りを待って不安な一夜を過ごした方たちも本当に多かった。

都心へ車で迎えに行った方の話だと、荻窪付近までしかクルマも入れなかったとのこと。

おそらく規制が引かれていたのでしょう。道路も大渋滞でその方は職場の方を送ったりご主人を迎えに行ったりして7時間半ずっと運転していたそうです。

 診療しながらこのような話をうかがい、震災後に治療することの必要性と大切さを痛感しました。


 土曜日は午後に往診にも出かけたのですが、寝たきりの患者さんの不安は想像以上のようでした。

お互いの顔を見たときの安堵の表情はうまく表現できないほど複雑な感情を含んだものでした。

その方も自宅が軋む物凄い音を聞いて、布団をかぶりながらもこれが最後かと覚悟したそうです。

3日前に伺った時にはなかったのですが、首筋に強いコリが出来ていました。

明るく振舞っていましたが、緊張のほどが伝わるコリでした。


 神戸の震災後、自分たちの職業は何が出来るのだろうと自問しました。

接骨院ですから、当然ケガされた方の手当てが出来なくてはなりません。骨折や脱臼などにもしっかり対応できる技術と知識を身につけようと思い、画像検査、整復方法、固定方法など一つ一つ検討しました。

鍼灸やマッサージでは疲労した人たちのケアが可能でしょう。カラダと心の相関性やメカニズムを知りたいと思い、古典から最新の構造医学まで勉強しました。

 今まさにこれまでの成果が試させられるときです。

「一隅を照らす」思いで明日も強い気持ちで診療に臨みます。


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