ここ3年ほどは次男の野球の合宿に付き合って夏休みを過ごしていたのですが、今年はその息子が中学3年生になり、一応野球から受験勉強に切り替えて頑張り出したので、私も来年の国際中医師免許受験に向けてひたすらお盆休み中、中医学の勉強に没頭していました。やり過ぎたのかどうかわかりませんが休み明けにひどい頭痛に襲われ、うちの奥さんに叱られるはめに。(泣き)(笑)
中医学とは平たく言うと現代中国の東洋医学です。国際中医師免許とはその中医学を学ぶひとたちに中国の公的?団体が認定するもの。しかしこれを取ったからといって日本ではなんの効力もありません。甲子園検定や漢字検定のようなものです。はり灸を生業にしているものとして自分の知識と治療技術をを膨らませるために勉強することにしたのです。
ただ試験範囲は非常に広く、毎月行う講習で丸まる2年間必要な内容です。最初の講習が始まってから早くも1年半が経とうとしています。
中国と日本の東洋医学は同じ言葉を使うし同じ文献を原点としているのですが、ここまで勉強してみて、まったく違うものと考えて学習したほうがいいというのが僕の感想です。
それはそれとして、異国の文化を勉強するといろんな側面のことが学べます。
根本的な根源的な違いと言ったらいいのでしょうか。日本と中国は違うのだという証左でもあると思います。今日はそんな異文化にどっぷり浸かった僕のひと夏の体験をお話ししましょう。
日本には中国から伝わった多くの成句や四字熟語がありますよね。
日本人はその熟語をひとつの固まりとして意味を理解します。ですからその熟語の意味を使いたいときは当然その文字を正確に並べて文章にします。そうでないとそれを読んだ相手にその意味が伝わらないからです。
ところが、中国の人は違うのです。
中医内科学の心疾患をまとめる作業をしていると、生薬と生薬を掛け合わせて処方する方剤の名前で『瓜萋薤白半夏湯』というのが出てきました。固有名詞がいきなりこのまま出て来たので当然僕は読めません。特に最初の二文字がどう発音するのか想像もつかない。とにかく字典などで調べた時は「カサイ」と読むらしいとわかりました。「カサイカイハクハンゲトウ」と読みを付けて頭の中に整理しました。
そのあと、問題集を開きました。本番の試験のときの元になるような内容だと聞いています。本番でどういう出題方法で問うてくるのか、まとめるために重要な作業です。
先ほどの方剤は、胸が痛くて背中にその痛みが突き抜けるようなときに効く漢方薬。問題文にもそれに該当する内容の症状がつづられているものがあり、それに適応する方剤名を問う内容です。その解答を探すための選択肢を見ると『瓜桜薤白半夏湯』と書かれている。「あれっ」これは二文字目が先ほどの方剤名と明らかに違います。中国の処方は日本と違って症状にあわせて方剤に別の生薬を足すことが多いので、もしかすると何かを足した結果こういう呼び名になったのかなと一応理解することにしました。
さらに他の問題を探してみると今度は『瓜蒌薤白半夏湯』という選択肢が出てきました。
「草冠に米に女」という漢字です。またまた違う方剤名が出てきてしまいました。問題文の症状や舌態、それに脈状も少しづつ教科書のそれと違うのでこれもやはり別の生薬が混ざったものなのか。しかし選択肢の2つの方剤名は教科書のどこにも書かれていません。読み方もどんな生薬で構成されている方剤なのかもわからない。自分の中の疑問を解決するために猛然と調べました。
そしてわかったのですが、なんとこの3つの方剤は全部一緒、同じものだったのです。漢字は違うけれど全部同じ生薬を指しており、表記方法はなんと5つもあるとのこと。すべて読み方は「グアロウ」か「かろ」なんだそうです。これには改めて中国の歴史の長さと奥深さを思い知らされました。
一事が万事みんなこんな感じです。教科書には不眠症と表記されて解説しているのに、問題集には突然なんの断りもなく、不寐(フビ)証と表記されて出題されるのです。
これを中国で中医学を学んできた先生に確認したところ、向こうでは同じ漢字を使うのはものを知らない者とみなす風潮があるようで、成句も熟語もしばしば変わるそうです。
これではもともと頭痛持ちの僕が頭痛になるのも致し方ないかもしれません。ですが始めてしまったものを途中で放り出すのも悔しいので、うちの奥さんに叱られない程度に来年の試験まで同じ悩みを抱いているであろう受験生仲間と力を合わせて頑張るつもりです。もう少ししたら慣れるのかなと期待しつつ・・・・。
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