どうしたら姿勢は良くなるのか

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 僕はこれまでの臨床経験から、人の姿勢とはそのひとの過去現在未来すべてを映し出す鏡だと思っています。
 両親からもらった身体は、その時点で親や祖父母の特徴を引き継いでいます。

 以前うちの叔父や父の腰を治療していて2人の腰がそっくりなことに気づきました。そして鏡で見た自分の腰がまさにこの2人の腰そのものだったのです。身体的特徴は嫌がうえでも引き継ぎます。

 成長する過程でも身体に問題が発生することがあります。病気や怪我です。軽微なものから重篤なものまで、記憶のあるものからないものまで様々な傷が身体に痕跡を残します。僕の身体でいうと5歳のときの鎖骨骨折と頚椎損傷はいまだに首と肩の緊張を引き起こしています。
 そのせいかどうかはわかりませんが、僕は体のことを知るのが大好きになり、自分のつらさから患者さんの気持ちがよくわかり、また人を治す努力をすることで自分も治されているような感覚が生まれ、そういう意味で身体を壊したことは今の仕事ためには良かったと思っています。

 僕のように首や肩の緊張が強い人はだいたい腰も張っていることが多いです。肩こりを訴えて来院された患者さんをマッサージすると大抵は腰も張っています。触られてみて初めて腰が張っていることを自覚する人も多いです。
 また腰の痛みを訴えて来院された患者さんの多くも首や肩が張っています。腰を治療しても治らない人はほぼこのパターンです。「他の整形外科や治療院で治療してもらったけど痛みが取れない」といって来院される人の多くは首肩を治療してあげると良くなることが多々あります。
 これは首と腰が一本の背骨で出来ているからです。24個の脊椎と仙骨で機能している背骨を上と下で分けて考えるほうがむしろ不自然な話しで、背骨全体で痛みの原因を探るべきなのです。

 こうした様々な要因により現在のその人の姿勢が出来上がっています。そしてその姿勢が次なる未来をつくります。これが「姿勢は過去現在未来の鏡」の意味です。

 こうした体が持っている背景を表す姿勢をどうしたら良くすることができるでしょうか。
 最近コンディショニングエクササイズとか、ファンクショナルトレーニングと言われ、姿勢からその人の状態を見抜き、硬くなった筋肉をストレッチし、弱った筋肉(特に体幹部)を鍛えて姿勢や機能向上を目指す運動法が考案されています。
 従来の単なる筋トレでは痛んだ関節や歪んだ姿勢を治すことは無理で、むしろその歪みを助長し強める結果もあるとして、こういう考え方が出てきました。

 いまの僕の治療もまさにこの考え方に沿った内容になっています。
 鍼灸は怪我や癖で硬くなった筋肉や腱をほぐすのに非常に高い効果を発揮します。
 また手技療法として取り入れているAKA博多法は骨盤の関節を動かす骨盤調整ですが、これは関節を緩めたり、動きを調えたりすることが出来る関節運動学的アプローチと関節神経学的療法からなるもので、骨盤だけでなく全身の関節を緩め響かせ調整することが可能です。
 それでもときにはうちでする治療だけでは治療として十分でない場合もありますので、その際はご自宅でするストレッチ方法も指導しています。
 これらにより身体に溜まった歪みを取り除き、さらにからだを丈夫に歪みにくくするために、その人にあった簡単にいつでもどこでも出来るようなトレーニング方法をお教えし、再発防止や姿勢改善につながるように指導しています。

 今の僕はこれらの治療や運動療法が完全に機能し、患者さんの身体が怪我や身体を壊すよりももっと前のより良い状態になることを目指して治療しています。
 まだまだ力不足なために、患者さんによっては機能回復を図り姿勢を変えるまでに大変な時間が掛かってしまっています。姿勢を良くする、歩行を改善するのは容易なことではない場合が多いと実感させられる毎日ですが、今後はこれを短くするためにもっと新しい、もっと効果の上がる治療法なり運動法をこれからも探り続けて皆さんにご提供していこうと思っています。


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