普段何気なくしていることが実はとっても大切なことだったりすることがあります。
桜が満開で素敵な季節になった4月最初の今日は誰でもしている『呼吸』のお話をしようと思います。
鍼灸という施術は非常に単純な道具を用いるため、それだけに施術する側の技量が求められる実は奥深い治療法だと僕は思っています。うまく鍼がさせないお灸が出来ないとただ痛いだけただ熱いだけのものになってしまう。こんなのは当たり前ですが、このシンプルな道具でひとのからだを良いほうに変えるというのはなかなか至難の業です。鍼をさしたら単純に人のからだの調子が変わるわけではないのです。学校の教科書通りにならないことを臨床の場に入ってみて知り、本当に大変なことだとわかりました。
ですからこれも当たり前ですが修業時代から今現在まで自分の不器用さを補うためにひたすら勉強し続けてきました。少しでも治せるようになりたいただその思いだけです。
そんななか先輩の先生によく言われてきたのが「自分の気を使うんじゃない」「宇宙にある気をもらって治療するのだ」ということでした。
「ほう、そりゃすごいな」とその方法を早速教わって試してみました。なかなか難しいのですが、自分の貧弱な想像力を総動員して天地から新鮮な気を頂いてそれを患者さんの治療に生かすのです。「うまく出来たら患者さんがみんな治るのかな」なんて思いながら一生懸命練習しました。
はたして実際の治療でうまく出来た思いはこれまでにほとんどないのですが、最近この昔から言われている『天地の気を使う方法』の本当の意味がわかってきたような気がします。
どなたもそうだと思いますが、夢中で仕事をしているときが僕は一番楽しいです。が、そんなときの僕は夢中になり過ぎて呼吸を忘れて息を懲らして集中してしまっていたことに何年か前に気が付きました。気が付いた理由は自分の体調が悪くなったからです。
最初は仕事のしすぎなのだと思ってもっとゆっくりしようとしたのですが、遊ぶだけでもどうも良くならない。よくよく仕事をしている時の自分を観察してみると先にあげたように呼吸を止めていることに思い至ったのです。
鍼をするというのはそのくらい神経を使うものです。息を懲らして手先がぶれないようにしないと患者さんのからだの必要なところに響かせられない。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、その時は一対一の真剣勝負。治せるか治せないかです。
でもこのときに息を止めてしまうと自分のからだを壊してしまうことにようやく思い至ったというわけです。
これはみなさんの日常でも十分感じられることなのではないでしょうか。
夢中で何かをしている時のご自分を想像して頂くと思い当たることがきっとあると思います。
じつは『天地の気を使う方法』というやり方は全然特別なものではありません。簡単に言うと「大きく息を吸ってゆっくり腹式呼吸で息を吐き出す」それだけです。このときに天から眩しい光をいっぱいに受けて大地に自分の息を吐き出し、また生命力にあふれた大地から新しいエネルギーを吸い込むというイメージをすると「気持ち良くゆっくり呼吸できるよ」というものです。
諸先輩方の名誉のために言っておきますが、これにはもっと本当は深遠な意味があるのかもしれません。僕の理解力がこのくらいなのだとお断りしておきます。
呼吸を意識するようになると本当にいろんな症状が改善することが分かります。僕は以前動悸や不整脈にずいぶん悩まされたのですが、最近はそれも気にならなくなりました。また息をつめて仕事をしていたときは良くお腹もこわしたのですがそれもまったくなくなりました。
しっかり呼吸をする。当たり前ですがとっても大切なことだと思います。
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