今日はみなさんと「身体を温める」ということについて考えたいと思います。
よく健康雑誌や一般向けの医学本の広告やタイトルに「身体を温めるとガンが治る」とか「腸は絶対冷やすな」とか書かれているので、みなさんも一度は目にしたことがあると思います。
お風呂好きの日本人にとってイメージとしてはなんとなく「身体を温めたら良さそうだなあ」って思いますが、ではどうしたら本当に温めたことになるのでしょうか。
ちょっと前の本になりますが、西原克成先生という医学博士がお書きになった『究極の免疫力』(2004)になぜ体を冷やしてはいけないかが細胞内のメカニズムにまで及んで解説されています。
先生によれば、身体の働き全般は細胞内にあるミトコンドリアの働きと指令によるものなのだそうです。身体が必要としている栄養素の多くはこのミトコンドリアという細胞内にある微小体がその母体である細胞を働かせるATPという物質をつくるために必要であり(相互依存性)、その働く環境として体内を37度前後に保たないとならない(温度依存性)と言っています。
つまり、細胞のなかにあるミトコンドリアが活動しやすい環境作りがすべての健康の源になるというわけです。
先生はそのために止めるべきこととして、冷たいものを取ること、仕事のやり過ぎ(過少睡眠時間)、激しいスポーツを上げています。そしてもう一つ口呼吸です。
鼻が詰まっていて息が出来ないために口から息を吸うことってありますよね。実はこれが一番体を冷やすというのです。
先生は系統発生学といって人間の器官がどうやって出来あがってきたかを解明して人工歯根や人工骨髄の研究開発を進めてきた第一人者です。発生学から人体を見つめるとヒトは腸管から出来上がってきたのだそうです。その腸の入口が口になります。口の内側は粘膜で覆われて肛門までつながります。ですから漢方で舌の状態を診るのはこの腸の状態を診ていることになります。その口を使って呼吸をしていると腸内の免疫力が下がり、各臓器に機能不全が起こり、いわゆる病気が発生するというのが博士の見解です。
この口呼吸、確かに激しいスポーツしたときや水泳している時もしていますよね。疲れがひどかったりするといびきをかいたりもしますが、その時も口が開いている気がします。
起きている時も口から呼吸していることもあるようです。自分も気をつけるようにしているのですが、時々気が付くと口呼吸しています。
それで最近になってやっと気が付いたのですが、口を意識するのではなくて肛門を引き締めると口呼吸が止まります。
息を吐くときに肛門を身体の奥へ引き上げるように引き締めます。実はこれ骨盤底筋のトレーニングです。産後の状態を良くするためだったり、年齢が高くなった人の尿漏れを防ぐためにも推奨されています。これを練習している時の自分の口が閉じていることにふと気が付いたのです。
西原先生が言われるように腸管の最初と最後ですから、両者が繋がっていないわけがありません。このことに気が付いて目からうろこが落ちた気がしました。
身体にはもともと恒常性機能という安全装置が備わっていていくら外から身体を温めても一定の温度になると汗を出して身体を冷やそうと勝手に元の状態に戻ってしまいます。
ですから温めすぎは冷やしているのと一緒です。
腸内細菌の研究者からは身体を冷やすと言われている果物や生の野菜やヨーグルトなどもしっかり取るべきだと指摘されています。細菌学者から言わせればこれは身体を温めていることになるのかもしれません。
また、体表面の体温を体温計で測っても肝腎の体内の温度はわかりません。体温は日内変動していますから、正確に自分の平均体温を知るためには朝と日中、夕方そして夜と4回測ってみる必要があります。
栄養学から体温を上げることを考えるとたんぱく質を取ると良いとされているそうです。
突き詰めて考えると意外に身体を温めるってむずかしいと思いませんか。このことは今後もっと考察を深めていきたいと思っています。
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