シンスプリントと疲労骨折の早期鑑別には超音波検査が有効です。

疲労骨折

シンスプリント

 最近、当院で来院される患者さんたちが増えているのが、シンスプリントと呼ばれる足のすねの痛みを訴える疾患です。
 スポーツをしていて傷める人がほとんどですが、まれに日常生活でなってしまう人もいらっしゃいます。
 シンスプリントとは、英語のつづりでShin splints 。 shin は脛(すね)。splint は副木とか添え木を意味するようですが、この場合は複数形になっているので下腿の2本の骨(脛骨と腓骨)を指していると思います。ようするに膝から下のすねの骨にまつわる障害のことを指しています。
 痛くなる場所は膝下から足首周辺までいくつも報告されており、場所によって疾走型と跳躍型に分類されています。
 これがひどくなってくると痛みが増すだけでなく、骨膜が崩壊していわゆる疲労骨折となっていきます。(専門家のなかでは、シンスプリントと疲労骨折は別の発生機序だとする意見もあります。)
 通常このシンスプリントと疲労骨折を識別し確定診断を出すためにはMRIを使って行います。理由はレントゲンやCTよりも早期に骨病変を見つけることが出来るからです。
 ただ、MRIでも疲労骨折と診断される状態は相当症状が進んでいて、歩行もかなり難しい状態になっていることが多いです。
 
そこで、当院ではもう少しキメ細かく診察するために超音波画像検査を行っています。
 超音波だとMRIで骨折がわかるよりもずっと早い段階で、疲労骨折の状態に入ったかどうかがわかります。その段階でスポーツを中断するかどうするか判断できるので、復帰する時期も早めてあげることが出来るわけです。折れてしまってからとそうでないうちとでは治療期間が倍違うので、この差はとても大きくなります。
 この両者の違いは超音波画像の場合、明白です。
 
 シンスプリントは超音波画像で描出すると、筋膜及び骨膜と言われる通常は薄い層が肥厚して腫れてきています。左右で比較してあげると患者さんでもその違いは一目でわかります。
 これと比較して、疲労骨折は筋膜骨膜の肥厚が観られるのと同時に、骨の表面に毛細血管が新生して、そこから染み出た浸出液が経過とともに厚みを増して骨の周辺を覆いだします。こうなると徐々に骨の表面は崩壊し始め、症状が進めば骨が隆起したように表面が膨れていきます。
 両者の共通点は、痛みがあるところは筋膜と骨膜がかならず肥厚していることです。
 そして両者の違いは、血管の新生と骨表面の浸出液の有無です。

 このことが分かるようになって、治療方法も非常に明確になりました。
 シンスプリントのうちは、筋肉の緊張を取ることを主眼とした治療を行い、
 疲労骨折の可能性が出てきたら、骨の修復をメインにした治療に切り替えます。
 運動も疲労骨折の場合は、進行を抑えるために原則禁止です。
 シンスプリントの場合は、運動で出てくる痛みがいつなのかを聞いてどの程度していいかを判断しています。
 
 シンスプリントの患者さんはみんな大好きなスポーツに一生懸命打ち込んでいる人たち。
 早く痛くなくスポーツができるようにしてあげたいと僕たちもいろんな工夫をしています。
 しかし、ひとのからだは機械ではないのですぐに治らないのも事実です。ケガをしたらどうしてそうなったのかを自分でもよく考えて、「まだ治らないのかな」と焦らず、自分のケアの仕方を見直すきっかけにできるといいと思います。
 三勝はり灸接骨院はみなさんを応援しています。

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