僕は子供のころ、はしかをこじらせて意識不明となり長期入院した経験があります。
退院後も1か月以上、直射日光を浴びないようにと医師に指示され自宅療養。
やっと外に遊びに行っていいと言われて、外に出られるようになったと思ったら今度は遊び過ぎて鎖骨骨折。
小学校に入学して2年生の時、当時法定伝染病に指定されていた猩紅熱に罹患し、隔離病棟に入れられて再び長期入院。両親はさぞや大変だったろうなと思います。
こういう経験はしないに越したことはないと思うのですが、今となっては僕にとって貴重な財産です。僕が患者さん目線で治療を考えているところがあるのはこのころの体験からきています。
学生時代は何にでも手を出したころで、地域の子供たちのお世話をしたのをきっかけに、養護学校の先生から頼まれて知的障害者の方のサマーキャンプに参加したりもしました。今の職業に就くなど夢にも思わない時でしたから何の考えもなかったのですが、知的障害のある方とじかに触れ合えた経験は今思うと本当に良かったと思います。
卒業後は一般企業に就職するのですが、2年余りで退職してしまいます。
ですが、このときの経験も僕にとってはとても貴重で大切な時期だったと思います。
この期間に社会人としての基本的な素養を身につけさせてもらったからです。
電話の受け答えから取引先企業の方たちの接待の仕方など本当に基本的なことがいかに大切か学ばせてもらいました。
退職後、資格試験を取るために人生初というくらい猛勉強するのですが、希望はかないませんでした。また再就職を検討し始めたとき、両親が「どこかの学校に籍を置いてもう一年頑張ってみたら」と言ってくれました。実はこれが僕が鍼灸学校に入学するきっかけです。
それまで鍼灸に興味があったわけでもなく、10月入学できる学校を探して偶然見つけた程度だったのです。
先日、在宅鍼灸医療を推進する会に参加した際に、すごくユニークな経歴のヘルパーさんのお話しをうかがうことができました。
そのかたは美容師からレストラン勤務を経て、ホテルマンに転身。ホテルの総支配人にまで上り詰めたのですが、その後ご自分のお母様の介護をせざるを得ず退職。自殺することばかり考えていたという日々を乗り越えて、今はヘルパーになって介護と社会復帰の両立を果たし、なんと介護事業所を立ち上げて年々規模を拡大しているという御仁です。
異業種から介護という世界に飛び込んで、でも嬉々として仕事をしているそのお姿になんとも清々しいものを感じました。
お話を伺っていると、それまでのすべての経験がその人の役に立っている感があります。
その方がこれまでの経験から大切にしているモットーは、「人としての礼儀を大切にして、誰に対しても真剣に向き合う」、「初めての人に会うときも、自分の一番大切な人と思って会いに行く」というものでした。どの言葉も僕の胸にグッとくるものばかりです。
僕自身、自分の半生を振り返ってみても、一見無駄だらけのような出来事もやはりなんらかの意味があったと思わざるを得ません。
こういう体験ができたことに感謝して、今の職業にも感謝して、来てくださっている患者さんにも感謝して、自分に合った仕事につけた喜びに感謝してもっと役立つ鍼灸師を目指したいと思います。
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