実際、ストレッチはどのくらい続ければ効果が現われてくるのでしょうか。
このことについて調べていたら、様々な角度から検討がなされた大変興味深い研究論文を見つけました。
まず僕みたいに身体が硬い人はストレッチをしても翌日にはすぐ身体が硬くなる感じがすると思うのですが、この研究によるとそれにはどうも筋肉の長さが関係しているようです。
筋肉は二つの組織、筋線維と腱という異なった組織が結びついて出来ています。
身体を柔らかくするためにはこの筋線維も腱も両方とも伸ばす必要があります。
ちょっと前まで、超音波画像装置で筋肉内部の動きを動画で観察するまでは腱は伸びないと思われていました。腱は非常に硬い組織で、解剖学者が実際に腱を人間の力で引っ張ってもビクともしなかったからです。
ですが、体の内部を覗いてみると実際には筋線維の収縮に伴ない腱が引き伸ばされ、それが元の長さに戻るときにその筋肉の最大の筋力が生まれることが確認されています。
そこで今回の研究では、筋線維と腱がストレッチでどのように伸びていくかを調べています。まず僕が驚いたのは、ストレッチを開始して最初に伸びるのは腱だったということ。硬いはずの腱のほうが伸びやすかったのです。
続いて筋線維が伸びるわけですが、実は筋線維が本当に伸びるようになるには約3週間が必要なようです。これも驚きです。
どうして3週間なのかという理由を知るためには、少し筋線維の構造を理解する必要があります。
まず、筋線維を構成している最小単位をサルコメアといいます。これがたくさん集まったものが筋線維です。このサルコメアが伸び縮みすることで筋肉が動くわけですが、サルコメア自体は伸びることが出来る長さが決まっています。ゆえにこのサルコメアの数が多いか少ないかで筋線維全体の伸びる長さが決まります。
筋線維が伸びるようになるためには、このサルコメアの数を増やさなくてはなりません。
筋肉に伸長刺激を与えると、それがトリガーとなってたんぱく質の合成が促され、サルコメアの数が増えてきます。それに必要な期間が3週間だったというわけです。
今回の研究ではストレッチだけでなく、筋肉トレーニングも取り入れた結果、より関節の動きが広がったと報告されています。
体を伸ばすためには筋肉の量もポイントのようです。
また、60秒持続して伸ばした場合は腱が伸ばされ、10秒のストレッチを反復する方法では筋線維が伸びたという報告もありました。面白いですね。
研究では、ストレッチは体の硬い人の方が効果もよく現れたそうです。
僕も諦めないでがんばろうと思います。DNAになんか負けないぞ。
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