今日は前回3月11日に引き続き、新しい検査でわかるカラダの状態「カラダはまだまだ不思議がいっぱい」の(2)です。
交通事故などのむち打ちの患者さんはレントゲン画像では骨の異常はまず認められません。MRIなどでチェックするときもありますが、これでも異常は認められないことが多いです。ですから病院でも本人の痛みを証明するための他覚的所見は関節の可動域をチェックし、神経症状をチェックするいわゆる理学的所見に頼ることになります。
これが新しい検査ではその異常が一目瞭然となります。
首の骨は全部で7つ。
この7つの骨が連結しているところが関節になります。
ムチ打ちの患者さんのこの関節部分をドプラーという細かい血管まで映し出す方法で描出すると関節の周りに異常な血管が浮き上がってきます。
異常な血管が出来上がるとそこに不必要な神経線維が入ってきて痛みを感じるようになるのです。これが痛みの本体です。
正常なカラダは計画的に血管が分布しています。
ところが何らかの理由でカラダの一部が壊れてしまうとそれまでコントロールしていた物質が出せなくなり、代わりに血管の新生を促す物質が出てきてしまいます。
無秩序な血管はこうして生み出されます。
今回の患者さんは11歳。サッカーの試合中に転倒して首を傷めました。
首の動きに特に問題があるわけではなかったのですが、痛みと緊張からくる凝りがひどく、お母さんに連れられて来院されました。
ドプラー法による画像検査で観察したところ、血管が首の関節部分全体に広がっていました。ここまではっきりと血管が描出された画像は珍しいです。
おそらく雨の後のぬかるんだグランドで試合をしたため、何度も転倒してこうなったのだろうと思います。画像を観て痛みが強いのも頷けました。
最近ではこの無秩序な血管は痛みのある部位の9割に見られたという研究報告もあります。私のところでも画像検査時に毎回調べていますが、ほぼ同じような結果です。
これからもどんなところに血管が出てくるのか画像を紹介しながら皆さんに時々ご報告していきたいと思います。
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