今日は特にこれといった原因もないのに、指の関節が徐々に腫れて痛みが出てくる疾患のお話しです。
(爪のほうから数えて)第1関節で起きる病変を「へバーデン結節」、
(爪のほうから数えて)第2関節で起きる病変を「ブシャール結節」といいます。
この二つの結節の名前は、それぞれの疾患の報告者に由来しています。
へバーデンさんは1710-1801のイギリス人医師。ブシャールさんは1837-1915のフランス人医師です。
William Heberden | Charles Jacques Bouchard |
お二人の年代からもこの指の疾患が古くから報告されていることがわかります。
ちなみに赤穂浪士の討ち入りが1702年、明治維新が1868年ですから、二人は江戸時代から明治にかけて活躍したひとになります。
この二つの疾患はいずれも変形性関節症といわれる同じ病変です。
こんなに歴史が古いのにもかかわらず、原因はいまだによくわかっていません。指を使うことが多いとなり易いと言われていますが、患者さんの職業や受傷機転と照らし合わせると説得力に欠けています。親子でなる人が多いという説もありますが、遺伝性は証明されていません。変わったところでは珈琲を飲む頻度が多い人がなりやすいと言っている先生がいましたが、統計がないのでなんとも言いようがありません。
よく似た疾患にリューマチがありますが、関節内の滑膜の異常増殖によって引き起こされる変形が自己免疫疾患のリューマチであるのに対して、関節の間が狭くなり、骨同士の軋轢が強くなった結果変形するのが変形性関節症である結節になります。まったく別の疾患なので注意が必要です。
へバーデンもブシャールも早期治療が予後良好です。
痛み出してまだ赤く腫れているときに治療すると変形もひどくならず、痛みが引くのも早いです。湿布やテーピングをする方もいますが、効果は認められません。
指先は人の目につきやすく、ひどく変形してしまうと後々苦労します。
当院では指先を使った井穴(せいけつ)治療をよく行っています。
これは指先に自律神経が集まっている場所を刺激することでカラダ全体のバランスを整える治療法です。指の腫れや痛みを取るために行なうのですが、結果的にカラダ全体を整えることにもつながります。
逆に言うとこういう原因不明の変形が起きる要因には体のバランスが崩れて来ているというのがあるのかもしれません。
指先だけでなく、肩こりや首の痛みを訴えられた患者さんに背中などにハリをすると、指先の状態もどんどん良くなっていきます。
痛みがなくなり、腫れや変形も収まってくると日常生活が楽しくなってきます。人前に手を出すのも平気になって明るくなります。
もし痛みがあるのに我慢しているようでしたら、相談にいらしてください。詳しくお調べいたします。
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