最近ちょっと前に怪我したのがなかなか治らないという患者さんが多いので、今日はそんな中から2ヶ月前に負傷した足首の捻挫の患者さんの症例をご紹介します。
患者さんは40代の男性。
地方に仕事で行かれた際に少し高いところから足場が崩れて落下して左足首を負傷しました。
そちらの病院でレントゲンを取ってもらいましたが、骨には異常ないと言われたそうです。
その後、サポーターなどで保護はしていたようですが、2ヶ月経っても痛みが引かないので当院に来院されました。
当院でエコー所見を撮ってみると足首のなかで外側では一番大きな靭帯(前距腓靭帯)と内側の強固な靭帯(三角靭帯)が断裂していることがわかりました。
画面中央の黒く口を開けたようになっている所が断裂の箇所です。
前距腓靭帯がクリームパンのように雲上に丸まっていて、画面右側の腓骨から剥がされている様子が写っています。
このまま固定をしなければ、靭帯はそのまま修復を諦めてこのままの状態になってしまいます。骨などは折れてから5日から10日ほどで骨が付くか付かないかが決まってしまうほどで、靭帯の修復も同程度と思われています。
ですから、この症例のように2ヶ月も経ってしまったようなケースだとこの断裂が修復するかどうかはなはだ疑問でした。
このことを患者さん本人にもご理解いただいたうえで日常生活に支障が出ないよう配慮しつつ、しっかり固定するような形のテーピング固定をしてみました。
患者さんには出来うる限り通っていただき、リパスという超音波治療器を用いて断端の癒合を促進しつつ、患部にお灸もして治療しました。
すると、1週間経過した時点でかなり靭帯が修復しだしている様子を捉えることができました。
大きく口を開けていた断裂部分がかなり閉じてきていることが画像を比較するとわかります。
さらに、靭帯の形も雲のように丸まっていた部分が元の形のように流線形に戻りつつある様子も映し出されています。
実はこの患者さんの靭帯の切れ方は骨と靭帯の接合部で切れてしまう境界型と言われるタイプでした。
これは新鮮な症例でも治りが悪いと言われており、しっかりとした固定が必要な捻挫なのです。
一般的に病院で捻挫と診断されると湿布を貼って終わりです。
なぜなら、ほとんどの病院では骨折を中心に診察しており、エコー検査までして靭帯の状態を診るようなことをしていないからです。
しかし、今回のような靭帯断裂の捻挫は湿布だけでは治りません。この患者さんがその良い症例です。
ただ、今回の症例は新しい可能性を示すものともなりました。
2ヶ月経った靭帯断裂でも再固定による保存療法で、つまり手術することなく、修復する可能性があることがわかってきたからです。これは僕にとっても驚きです。
靭帯断裂というのは形態が一応ではないので、なぜこの症例が修復できたのかもっと検討する余地がありますが、患者さんにとっては喜ばしいこととなりました。
皆様には是非このことを知っておいてもらい、捻挫に対する認識を深めてもらいたいと思います。
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