患者さんから、「肩凝りや、腰が痛いのは、姿勢が悪いからでしょうか。」という質問をよく受けることがあります。
僕は基本的には人の姿勢は人それぞれ骨格に違いがあるためまったく一緒とはいかない訳で、そういう意味でそのひとの理想の姿勢は皆それぞれ違うと考えています。ですから一概にこの姿勢が良いというのはないと思っています。
しかし、最近この「良くない姿勢」がやはり背中の筋力低下を招いているという事実もわかってきました。今日はそんな不良姿勢と腰痛の関係を考えてみましょう。
前回もお話したように腰背部には背骨を中心に内側筋群・外側筋群という2つの筋肉群が「胸腰筋膜」という袋に包まれて存在しています。
前屈みの姿勢をとると、この「胸腰筋膜」の内圧が上昇します。この上昇が筋膜内の神経や血管を圧迫するので中腰姿勢は長くやっていると痛くなるわけです。
また、背中を丸くしたいわゆる猫背の姿勢では、「胸腰筋膜」が緊張することで腰背部の安定が図られるものの、なかにある内・外側筋群は外からの力で伸ばされることになり、逆に筋力は低下してしまいます。このことがさらに「胸腰筋膜」への依存を強める結果となり、過度なストレスが筋膜疲労さらには炎症を引き起こし、そのことでも筋膜内の内・外側筋群にもまた過度な緊張が生まれることになります。また、頭が骨盤よりも前に移動している状態では重力線が前方に移動しているためにさらなるストレスが筋肉にかかります。これが不良姿勢による負のスパイラルです。
さらに内側筋群と外側筋群の動きを超音波画像診断装置によって観察すると面白いことが分かってきました。
不良姿勢にならないようにするには背筋を立てて頭の位置を骨盤の真上に持ってくることが理想となります。そうすれば人体は筋肉に過度に依存することなくバランスを保つことができるように設計されているのです。
この時の姿勢を保つには内側筋群が十分に動けるような環境が必要となります。
ここでおさらいですが、内側筋群とは背骨を動かさないようにするための言わば「動かないようにするための筋肉」。いっぽう外側筋群は背骨をひねる動作や横へ傾けるときの「背骨を動かすための筋肉」です。
この内・外側筋群の動きを動画で観察すると、外側筋群の緊張が内側筋群の動きに干渉していることがわかりました。ですから、内側筋群を鍛えて不良姿勢にならないようにするには、この外側筋群のストレッチなどを行い、緊張を取ってあげることが肝要です。そうすると内側筋群は自由に収縮することができるようになり、姿勢を保ちやすくなります。
こうなると内側筋群が背骨を支えてくれるので外側筋群への過度の負荷はなくなり、外側筋群もまた硬くなりにくくなります。好循環が生まれることになります。
筋肉は硬くなると細く弱くなり、柔らかくなると太く強くなる。
今回の結論としては、不良姿勢は筋肉の硬化を招き、筋力の脆弱化を招く一因となります。短時間の作業ならそんなに心配する必要はありませんが、長時間同じ姿勢を取らなくてはいけない仕事をされている方は是非姿勢に気をつけてください。
最後になりましたが、今回のメルマガが2015年の最後になります。
今年一年間、読み続けていただきまして、誠にありがとうございました。
来年も皆様に少しでも有益な情報を提供していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
皆様にとって来年も素敵な一年になるよう心からお祈りいたしております。
年末年始は12月29日(火)~1月3日(日)までのお休みになりますので、よろしくお願いいたします。
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