前回腰痛予防のストレッチと背筋の運動の仕方をお話したところ、さっそく患者さんから「私は壁に手をつくのも正座してする外側筋群のストレッチも全部できるのに腰が痛いのはなぜだろう」という質問がありました。今日はそれにお答えるお話です。
結論から言うとこの方は首の緊張が腰痛とつながっていました。
実は腰痛を引き起こす不良姿勢にはいくつものパターンがあるのですが、いずれにしても必ず首にストレスがかかるようになっています。
なぜかというと人間の平衡感覚を司る装置(三半規管)が耳の奥にあるため、頭は水平に保たないと困ります。そこで腰や背中が曲がっても伸びすぎてもなんとか首で帳尻をあわせようとします。そのためどうしても首に負担が強くなってくるのです。
腰痛のメカニズムでお話したように背骨を支える筋肉群は胸腰筋膜のなかに収まっており、それは首の上、後頭部から始まり腰骨まで延びています。この膜の緊張はどこがおかしくても起きます。
腰の痛みは膜の緊張でも起きるわけですから、別に腰の筋肉や背中の筋肉が緊張していなくても起きうるわけです。
こういう理由で、首が緊張しても腰が痛くなることがあります。
ご質問の患者さんは首のストレッチが苦手でした。よくよく探ると首から背中の筋肉の内側筋群が硬くなっていました。ですからこの方にはわずかに首を動かすだけのストレッチ運動をやってもらうことにしました。やり方をここでご紹介しますので、みなさんもやってみてください。
首が硬い人は必ず苦手な動きがあります。全部チェックしてもいいのですが、ここでは左右に顔を向ける動作をつかってみます。
まず、左右に顔を向けてもらいます。この運動は7つある首の骨でも1,2番目の骨の関節でほとんどの動きが行われています。ここで左右に60度回旋します。ほかの頚椎は10度前後。ですからこの動きでどちらかに向きにくい場合は1,2番目の骨についている筋肉をほぐすのが効果的です。
両手の2,3,4指を揃えて、軽く指先を後頭部の下、首の付け根に当ててください。
つぎに頭を軽く後ろに倒します。倒すときに両手の指を首から耳の方へ少し滑らします。皮膚を動かすくらいのほうが表現として正しいかもしれません。
何度か繰り返すと、こうするだけで1,2番の骨を動かしている筋肉がゆるんできます。頭を後ろに振りすぎると首を痛めますから、動きも回数も少な目にしましょう。
この1,2番を動かす筋肉は眼球を上に向けるだけでも動きます。
首が悪くて頭を後ろに倒すのが怖い人は目を閉じて眼球を上に向ける動作で代用してもらっても構いません。これなら首に負担をかけないで首のストレッチ運動ができるのと同時に、目の疲れを取る運動にもなります。
前にもこのブログでお話しましたが、肩こりと腰痛は根っこがいっしょです。首肩のために腰や背中を鍛える必要がありますし、腰や背中のために首肩を鍛えることも大切です。
不良姿勢とはからだの中に弱った筋肉と過緊張した筋肉が入り混じった状態です。両方のバランスを整えることが大切です。
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