胸とおなかを隔てる筋肉、横隔膜。この筋肉は知れば知るほど不思議な筋肉です。
絵をみてください、不思議な形をしていませんか。
この筋肉は肋骨の下縁いわゆる鳩尾(みぞおち)からぐるっと後ろの背骨(第1~3腰椎)の際まで繋がっています。画像でみるとマントのようです。
そのマントの中心部分は腱中心(画像で白く示された部分)と呼ばれ、この部分が筋繊維によって引っ張られると下方に移動します。これが外から見るとおなかが膨らんで息を吸った時の状態です。
では、息を吐くときはどう動くのでしょうか。実は横隔膜はただ緩むだけです。元々肺にも胸郭にも弾性力があり、引っ張られて広がったものは力を抜けば元に戻る性質があります。ですから、安静時は息を吐くのに力は必要としません。無意識に呼吸できるのはこのおかげです。しかし肺活量を測るときや運動して呼吸を必要としているときはそういうわけにはいきません。この時に活躍する息を吐き出す筋肉が腹横筋です。
この筋肉は横隔膜と対になって呼吸時に動きます。身体を起こしたり、ねじったりする動きには関係がありません。息を吐く時に収縮するだけです。深呼吸でもしない限り普段活躍することがない筋肉ですが、ここが衰えていると腰痛になりやすいとも言われています。
一説によると体重の4分の1の重さの物を床から持ち上げた際に、腰椎に掛かる圧迫力は体重の4倍と推定されています。お腹を横隔膜と腹横筋でしっかり締めておかないと腰椎に負荷がかかり過ぎ、腰椎もしくは腰の筋肉を傷めてしまうことになります。
僕もウエイトトレーニングをしているので、身体でこのことは実感できます。
ちなみに腹横筋はおなかをへこませて息を吐き出すときに収縮していますが、おなかの真横、脇腹を締めるように意識すると上手に動かしたことになります。やってみると意外に難しいですよ。
24時間休むことのない呼吸という大切な生命活動の支えてくれているこの2つの筋肉。ぜひこの機会に動かして体感し直してみてください。
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