足首の捻挫を見た目や痛みで判断するのは。


 14歳の少年が足首を傷めて来院されました。

 腫れこそ多少ありますが、見た目は内出血もなくきれいな状態です。

 歩行時に少し足を引きずるくらい。ただし、内反という動きを足首にこちらから加えると足首の外側を痛がります。

 程度はわかりませんが靭帯損傷が疑われる上記所見から超音波画像検査を行ってみました。

 

 結果は前距腓靭帯の断裂。さいわい、この靭帯と繋がっている踵腓靭帯は損傷を免れていたので、損傷程度の判定ではⅡ度に相当します。

 

 従来の診断は靭帯の損傷程度を基準にしていました。つまり、腫れはあるけど靭帯は傷ついていないものをⅠ度、靭帯が半分ほど切れているものをⅡ度、完全に切れているものをⅢ度としたわけです。

 一見わかりやすい分類ですが、これだと足を切開して靭帯そのものを観ない限り正しい診断はできないことになります。誰のための基準なのかはっきりしなかったのです。


 

 そこで当院では、距骨前方引き出し(drawer sign)テストと距骨傾斜角(talar tilt angle)テストを超音波検査下で行い、関節の動揺と靭帯の状態の両方から捻挫の程度を判断するようにしています。2枚の画像は最初が引き出しテスト前、2枚目がテスト時。関節が大きく開いてしまっていることが容易にわかります。

 

 この判断基準は靭帯損傷の回復度合いを計るときにも非常に役立ちます。

 断裂していた靭帯が付いたのかどうかも一目瞭然で、他院で見られるような固定日数で判断して、ついていないのに運動を許可するようなことがありません。

 

 切れてしまった靭帯は修復できる期間というのがあり、ケガしてから最長で68週間のうちに固定しないと治らなくなります。逆に言えば、この期間であれば怪我してから1か月経っていても、適切な処置をすれば切れた靭帯はちゃんと修復します。

 

 骨が折れていないからと捻挫を軽視せず、しっかり診ることが大切です。



2020年6月以降、当院は完全予約制になっています。
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