寒邪(かんじゃ)のしわざ

11月に入ってインフルエンザが流行しているニュースが入ってきましたが、

当院ではなぜか頚部痛を訴える患者さんが増えています。

しかも多少の程度差はありますが、結構な痛みを伴っているケースが多い。

傷めた理由は様々なのですが、これだけ同時期に罹患して来ると、季節的なものを感じざるを得ません。

東洋医学では、この季節的な変化、気候変化を「風、寒、暑、湿、燥、火」という六気に区分しています。

この六気自体は自然界の気候変化ですから悪いものではありません。

ただ、その変化が急激で、人体がその変化についていけなくなると

病気を引き起こす要因になると古人は判断したのです。

その要因になった時、六気は六淫もしくは六邪と呼ばれるものになります。

寒さが病気を引き起こす原因となった時、「寒邪(かんじゃ)」と呼ばれます。

寒さが身体の正常な働きに変化をもたらすと、

全身の皮膚やその周りの組織の動きを悪くさせ、血行不良を引き起こし、

その結果、頭痛、関節痛などの疼痛症状を作ると考えられます。

ですから引き金になった動作や理由は人それぞれですが、

同時期にひどい首の痛みを訴えてきた人たちは、この寒邪に侵された可能性を考慮する必要があります。

罹患した当初は痛みを取ることを優先しますが、

落ち着いてきたら、この冷えを追い出すことをしなくてはいけません。

当院はここに独自の解釈を加えて、

その人の動きの悪いところを探して、

その動きを改善する治療を行うようにしています。

動きは他覚的に確認できるので、

施術する側も患者さんもお互いに客観的に確認できるメリットがあります。

施術ポイントが正しいときは、患者さんから「身体がポカポカしてきた」

「鍼をされているところがジンジン揉まれているようだ」などと言われることもあります。

こうなれば、寒邪は去り、動きが良くなっています。

この冬の始まりの時期は、手洗いと身体の動きに要注意です。


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