今日はこれまでの診察方法が今少しずつ変わってきているというお話しです。
従来痛みの原因とは考えられていなかった脇役の組織がいま熱い視線で注目されています。
膝が痛い。腰が痛い。肩が凝る。こういう症状で病院に行くとまず、レントゲン検査です。これはその背後に重篤な疾患が隠れていないかを確かめる目的があります。そこで異常が見つかればさらに詳細な情報を得るためにMRIなどの検査を行い、脊髄や骨の中に病変がないかどうかを調べます。
これらの検査で通常見つかる異常は骨や軟骨の問題、靭帯や腱の断裂、神経の圧迫などです。
これまでの運動器疾患(膝が痛い。腰が痛い。肩が凝る。)はこういった部分を対象にしてきました。それはそこから痛みが出てくると考えられていたからです。
ところが最近それらとは別の組織にも問題が発生してくることがわかってきました。
それが骨膜、脂肪組織、滑膜、関節包という関節を保護する部分なのです。
これまでも滑膜や関節包などの炎症は報告されていましたが、脂肪組織に関してはほとんどの先生が問題視してこなかったと思います。
たとえそんな報告があったとしても、レントゲンやMRIに写らなかったので無視されてきたのです。
じゃあどうしてここに異常があるとわかったのか。
実は血管の動きを調べた先生がいたのです。
体の血管の中に細くて柔らかい管を通してからだの痛い場所まで誘導し、血管内に造影剤を流して撮影する方法です。
こうして観察してみると痛いところには通常では診られない異常な血管が分布していることがわかりました。
この新しく出来た血管には様々な特徴があります。
まず、血管の壁がもろい。そのため炎症を引き起こす白血球が容易に血管の外に漏れ出て周辺が腫れてきます。
また通常の毛細血管とは違い自律神経の影響が見られません。そのため周囲の血管が収縮すると血液がこの新しく出来た血管のところに集まり、炎症がさらに広がる結果となります。
そして、この血管に神経が付随してくるのでその神経が痛みを感じるようになってしまいます。
この血管が出来やすい場所というのが、上に挙げた骨膜、脂肪組織、滑膜、関節包です。
これまでにもここに炎症が起きるという報告はあったのですが、目で確認できないものは、一部忘れ去られていました。そんなことはあり得ないという先生もいたほどです。
ですが臨床現場では患者さんがそのあり得ない場所を指差して「先生、ここが痛い」と言うのです。ぼくもこれまで超音波画像で患部を診て来ましたが、病変が写っていてもそれが痛みを作っているという確証が持てずにいました。しかし、これで合点がいくようになりました。
開業して25年もやっていますが、まだまだ新しいことが出てきて本当にカラダは不思議でいっぱいです。
当院ではこの痛みを作る血管を描出する画像検査装置を使用して診察しています。
皆さん安心して受診してくださいませ。
受診お申込み
2020年6月以降、当院は完全予約制になっています。
メールフォームよりお申込みいただいた後、折り返しのメールもしくは電話をお送りいたします。
混雑状況によっては、ご希望に添えないこともございます。何卒ご了承ください。
お電話でのご予約も承っています。TEL 042-387-5884 (診療時間外及び診療中でも留守番電話になることがあります。必ず折り返しご連絡致しますので、お名前と電話番号をメッセージに入れてください。)