最近は働き盛りの若い人でも無理がたたってめまいや頭痛に悩まされている人って意外に多いです。
今日はそんな30代のひとのお話です。
この患者さんは会社勤めをしながら夕方6時から大学院に通うスケジュールをこなしていました。
めまいの症状をお聞きすると、
「5分以上立っていられない」
「起き上がるときや立ち上がるときに頭痛がする」ということです。
しかし、病院の検査では特に問題は見つかりませんでした。
ほかの周辺症状としては、首に痛みがあり、左手に痺れと痛みが出るとのこと。さらに腰痛も持っていらっしゃいます。
一般的にめまいは軽傷であれば目を閉じると緩和しますが、
重症の場合、乗り物に乗ったような回転感に襲われて立つことができなくなり、悪心、嘔吐、発汗などを伴うこともあります。
このかたの症状はそういう意味で深刻でした。
さて当院ではシャクジュ治療と呼ばれるはり灸を行いました。
まず、患者さんの胸腹部をうかがいからだ全体の状態を東洋医学的に判断します。
このかたは下腹部が冷えていて、その逆に胸の上端は張って固くなっています。
体の厚みはあるのですが、肌に張りと赤味がなく血の気が足りない印象です。
こういう状態を東洋医学では、気の巡りが悪く、その結果血が産生されなくて足りなくなっていると観ます。気血虧虚(キキョ)証といいます。「虧」とは「か‐ける」とか「か‐く」という意味です。
こういうときに漢方薬を処方するなら「補中益気湯」です。食べ物ならしょうがとナツメを入れたスープがおすすめ。
はり灸ではまず「心」に働きかけます。漢方でいう「心」とは、「こころ」の働きと「心臓」そのものの働きを含んでいることが多いです。
つまり、一箇所に鍼をして心を軽くすることと血の巡りを良くすることの両方を狙っていることになります。
塞いでいた気がめぐるようになると顔に表情が戻ってきます。これはすごく重要で、その日最初にからだに当てる鍼が治療のすべてを決めるくらいの気合と慎重さで僕は集中して行います。
ここまでの説明でお分かりになった方も多いと思いますが、はり灸は刺しているところだけを狙っている治療法ではありません。むしろ少ない治療箇所で全身の症状や状態を改善できるように努力工夫しています。
シャクジュ治療のいいところはまさにこの少ない鍼で治療できることにあり、僕が気に入っている理由です。
この患者さんは治療開始から1ヶ月ほどで元気を取り戻し、その後無事大学院の修士論文を提出。今現在めまいの症状は全くなくなり、さらに体力をつけようとスポーツジムで筋トレに励み出し、見違えるような体つきになっています。
めまいは難しい症状ですが、はり灸をやってみる価値はあると思います。
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