今日は不思議な題名をつけましたが、実はこれ、コレステロールの話です。
たぶん、ほとんどの人が「?」と思ったことでしょう。7月くらいからたんぱく質の必要性について書いてきたのですが、今回はいよいよコレステロールを含めた脂質の取り方についてお話ししたいと思います。
コレステロールというと動脈硬化・心臓疾患・脳梗塞とつながってすごく悪いイメージが強いですが、その一方で脂質は三大栄養素として人間の体になくてはならない必要なものとされています。ビタミンやミネラルなどよりも大事に扱われていることが実に不思議ですよね。
脂肪は摂ったほうが良いのか悪いのか。運動器疾患を扱う立場の人間としてどうしてもここはしっかりと知っておきたいと2年余り前に介護予防運動指導員という資格を取り、栄養学について資格取得後も勉強してきました。
結論から言うと、しっかり摂ったほうが良いという結論です。
理由をお話ししましょう。
そもそも脂質から作られるコレステロールは体を構成するほとんどすべての細胞本体を頑強な構造にするために欠かせない成分で、血液検査で引っかかる血清コレステロールはまさにこの成分のことです。
さらに若いひとにとっては種の保存に、その必要がなくなった大人たちには若さとエネルギーを保つ必要不可欠な性ホルモンの主要成分でもあるのです。
これを減らすとどうなるのでしょう。イギリスや日本の研究データで、コレステロール値の低い男性グループは抑うつ傾向が強くなるという結果がでています。逆に高い人たちは事故や自殺リスクが低かったそうです。
認知機能の点からも脂質が非常に重要であることが分かってきました。人が幸せに自立して生活が営めるということは、①食事や掃除などの家事をこなせる能力、②探索や創作、余暇活動といった生活を楽しむ能力、そして③人を思いやる、相談にのる、違う世代とも積極的に交流するなど「人をいとおしむ」能力という3つの生活機能があると言われています。
当然ですが、①よりも③のほうが高次な社会性を有するわけですが、コレステロール値が低いと人間の「品性」に関わる能力の障害リスクが高まることが研究で明らかになりました。
理由の最初にも言いましたが、コレステロールは神経細胞のさやの部分にもなっていますから、当たり前といったら当たり前です。
では、最後にこれを上げるもしくは保つにはどうしたらよいのでしょう。肉、さかな、大豆や納豆などの植物を万遍なく1:1:1の割合で取ることです。青み魚の油が認知症に良いからといってそればかり取ることは危険だと専門家は指摘しています。なぜならそればかり食べていたエスキモーの人たちには出血性疾患が多く、決して長生きしていないからです。種類が豊富な脂質は万遍なく取ったほうが良いのです。
知性を感じる魅力的な人間には偏りのない食生活が大切ということのようです。
今回の話は健康長寿医療センターで長年研究されてこられた熊谷修先生の本を主に参考にさせていただきました。
ご興味のある方はぜひこちらもご覧になってください。
『介護されたくないなら粗食はやめなさい』講談社+α新書 838円(税別)
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