樋野 興夫(ひの おきお)先生にお会いする。

樋野 興夫(ひの おきお)先生にお会いする。

先日、小金井市内の教会で、樋野 興夫(ひの おきお)先生のご講演を聞いてきました。

樋野先生は、順天堂大学医学部の病理・腫瘍学教授であられ、研究の傍ら、患者さんの心に寄り添う医療を実践しようと「がん哲学外来」というメディカル・カフェを日本全国で主催されています。

 

「がん哲学外来」の開設趣旨のなかで、先生は医療の根本を次のように述べられています。

「『最も剛毅なる者は、最も柔和なる者であり、愛ある者は勇敢な者である』とは「高き自由の精神」を持って医療に従事する者への普遍的な真理であり、「他人の苦痛に対する思いやり」は医学・医療の根本であると考える。」

順天堂大学大学院の各研究分野紹介ページに載せられている文なので、かなり硬い形式になっていますが、がんを研究する目的は、人の心に対する深い思慮と真摯な態度なくしてあり得ないという先生ご自身の哲学が語られている気がします。

 

 今回その先生のお話を直接伺える機会を得ることができたのです。

 演台の前に立たれて開口一番「僕の講義は非常に眠くなるというので有名ですから、どうぞ眠ってください。」と笑いからスタート。確かにボソボソという語り口なので、講義だったら眠くなるかもですが、逆に飾らないところが聞く人の心をホッとさせて、お話しが進むうちに、先生のことばがどんどん胸に響いてくるそんな優しさの伝わるご講演でした。

 

 このお話しのなかで、僕が特に感銘を受けた言葉が2つありました。

ひとつが「任せる」。自分がすべきことが何かを沈考し、それ以外のことは人に任せる。すると時間が生まれるから、余裕ができる。自分のなすべきことにさらに時間を使うことができるというのです。限りある「命」と対峙したとき、この「任せる」という態度は非常に大切な心構えのように感じました。

そしてもう一つが「品性の完成」です。これは先生に「日頃一番大切にしていらっしゃる言葉は何か」という僕からの問いに対するご回答でした。

僕は20数年患者さんと向き合ってきたことで、日頃から「ひとの人生とは何か」とずっと考えてきました。人生の素晴らしい先輩たち(この中には多くの患者さんたちが含まれています)と相対して、ひとは笑顔と感謝、自らを卑下することなくポジティブな感情を持つことがもっとも大切だと僕なりですが感じ取ってきました。先生のその一言はまさに僕の人生の目的と定めていたものを言い表してくれていたのです。

 

5月からは小金井でも樋野先生の「le=”margin: 0px; font-family: "MS 明朝",serif;”>がん哲学外来」メディカル・カフェが始まるそうです。ご興味のある方は是非「がん哲学外来」のホームページをチェックしてみてください。





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