今年は年頭にくびの話からスタートしましたが、今日は体幹部の尻尾に関わるお話をしたいと思います。
身体のことを良く知りたいと思ったらまず解剖を学ぶことが基本になりますが、人類がどうやって進化してきたか、どのようにして今の身体になったかを知るとさらに大変興味深いことがわかってきて身体のことが面白くなってきます。
人間の進化の過程は受精卵から胎児になるまでの過程で忠実に辿れていると言われています。
そして大人のからだになっても人間が四足動物から二足歩行になったことを示す痕跡は股関節の形状と靭帯に色濃く残っています。
股関節の大腿骨骨頭は骨盤の中に入り込むようになっていますが、四つん這いだとピッタリはまっているものが、まっすぐに立つと実は少し骨盤からはみ出てしまいます。
また、その股関節をまわりで強固に支えている靭帯は四つん這いのときは地面に対して垂直方向に伸びて緩んだ状態ですが、立ち上がった状態では骨頭を締め付けるように捻れた状態になります。
つまり、股関節は四つん這いのほうが骨同士の結合が強固になり、立ち上がるとその結合が弱まり回りの組織に負担が大きくなるわけです。股関節が痛み出す、骨頭が変形する理由はここにあります。
では立った状態の股関節を安定させるためにはどうしたらいいのでしょうか。
これは股関節を外旋させると安定することが出来ます。
具体的には、尻尾を丸めるようにお尻を内側に引き、肛門を引き締める姿勢を取ります。すると股関節は自然と外旋します。これにより股関節の靭帯が大腿骨骨頭にしっかり巻きついて股関節を支えてくれるようになるわけです。ですから股関節そのものをひねる必要はありません。
実際にやってみるとわかりますが、股関節が安定すると下半身がしっかりと身体全体を支えてくれるようになります。この状態で前後方向から人に押されても身体が安定して倒れません。
また、これにより上半身からは力が抜け、肩甲骨が背骨に近づくことで姿勢がよくなり、腕の可動域がひろがり楽に大きく動かせるようになります。
つまり、股関節を安定させると理想の美しい立ち姿になるわけです。
股関節を安定させることは、ひとが人らしく自由に生活するために、背骨全体の動きにも影響し身体が楽に動かせる状態を作り出す重要な要素でもあります。
昨年末にお伝えした「腰割り」はまさにこの股関節周りの筋肉を鍛えるトレーニングでした。
人間は二足歩行になったことで、股関節の骨同志の結合が脆弱になりました。しかしそれを靭帯で補強し筋肉で補うことで直立姿勢を維持することにしたのです。そして2本の自由に動かせる前足つまり上肢を獲得しました。
この姿勢を保つためには股関節周りの筋肉を鍛える必要がここにあったのです。
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