今年に入ってまだ2ヶ月ですが、この間に僕たち夫婦は介護予防運動指導員の勉強に横浜へ休日ごとに通っていました。今回はこの取り組みとそこで教わってきた興味深いお話を簡単にみなさまにお伝えしようと思います。
皆さんご存知のように当院は毎週水曜日接骨院に通えない方を対象に、その方のご自宅や施設に伺って治療したり、歩行訓練などのリハビリ運動をお手伝いしています。
最近は僕だけでなくうちの奥さんも張り切って患者さん宅や施設へ伺うようになっています。今現在、伺う先の患者さんは当然ご高齢の方が多く、そんな方たちが少しでも自分の力で日々の生活を営むことができるようにと思って水曜日の往診を続けています。
その延長線で、「もっとこれまで以上にご年配の方のからだや運動法についてしっかり学びたい」と今回の講座に申し込みました。
介護予防運動という取り組みは、東京都健康長寿医療センター研究所が行った特別プロジェクト「中年からの老化予防学際的長期追跡調査」による10年以上にわたったデータが元になっているそうです。
加齢に伴う老化は適切な運動やトレーニング、そして食事指導によって改善することが出来る。これがしっかりとした科学的根拠に基づいたデータで示された結論でした。
講義される内容も非常に濃くなおかつ多義にわたっていました。認知症や尿失禁についての講義は自分の親という身近な存在で大いに役立つ内容でしたし、統計学や行動科学など介護だけにとどまらずいろんな分野で役立ちそうなものまであり、どれも面白く興味をそそられました。
なかでも特に面白いと感じられたのが栄養学です。
元気なお年寄りの人たちの血液検査を行ったところ、男性も女性もコレステロール値が非常に高いことが分かったのです。その数値はなんと230以上。今病院などに行くと治療対象になる数値です。ところがそういう人たちの方が認知症にもならず元気に生活出来ている。
また、認知症になっている人を調べてみると肝臓で作られるアルブミンというたんぱく質の数値が低いことが分かりました。これは医学的には現在3.8以上は正常とされていますが、認知症の患者さんは4.1以下からだんだん増えるという調査結果がでました。逆に4.3以上だと認知症の症状が見られなくなります。
もうひとつビタミンB12が認知症予防に強く関わっていることもわかってきました。
これは動物性たんぱく質に多く含まれている物質で、神経に作用し痛みを和らげる効果もあるものです。ビタミンという物質は体内で作ることが出来ないので微量でも不足すると体調を崩す原因になります。このビタミンB12が少ないとやはり認知症になりやすい。
このコレステロールとアルブミンそしてビタミンB12の数値を同時にあげる方法があります。そうです、肉をしっかり食べることです。
これも8年以上に及ぶデータで裏付けられています。年齢と共に肉類を食べなくなってきた人たちを対象に栄養指導を行い、肉類や卵、そしてバターなどの油脂類を2日に一回以上取ってもらったところ、体内で低下していたアルブミン値が8年年を取った後でも上昇していたというのです。
これ以外の様々なデータから先にあげた研究所の結論は、一日3食しっかり取り、極端に偏った食事ではなく、むしろ少し欧米化した食事のほうが心身の健康を保つために良いということでした。
このデータを見てコレステロール値がいつも高いと気をもんでいた僕はすごくホッとしました。いままで油ものを少し気にしていたのもこれで全然気にならなくなりました。
また、こんな簡単なことで老化が防げるならやらない手はないなとも思います。
最後に介護予防運動指導員というのは、これらの知識をお伝えしながら65歳以上のかたに向いた運動を指導し、生活向上を図るというものです。ですから講義は運動がメインです。最後に試験もあり、合格しないとこの指導員にはなれません。先週の日曜日に受けてきたばかりなのでまだ結果は分かりません。(汗)ただ、ここで勉強したことはこれからの診療に非常に役立つと思います。
栄養の話しが一番皆様のご参考になるかと思い、紹介させていただきました。
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