患者さんと話していて心配になるのが、病名に対するお互いの認識の違いです。
よくあるのが「○○神経痛」ということば。
患者さんもご自分で使われることが多いのですが、人によっては意味を取り違えていらっしゃることがあります。
たとえば坐骨神経痛ってよく耳にしますよね。
この坐骨神経痛を引き起こす原因ってどのくらいあると思いますか。
症候性神経痛と言われるはっきりした原因が特定できるものだけでも、梨状筋症候群・腰部脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア・腰椎分離すべり症などがあげられます。
さらに突発性神経痛といわれる原因がよくわからないものになると、筋腱の拘縮、仙腸関節障害、風邪などを含めた各種感染症、急激な気温差、寒冷、精神的ストレス、などです。
今現在原因として報告されているものを数え上げると38種類くらいあるといわれています。
「そんなにあったら何をしたらいいのかわからない」って思いますよね。
そうなんです、厳密に考えると非常に難しい症候が神経痛です。
ちょっと怖い話しをさせていただくと僕たちは神経痛様の痛みを訴える患者さんを診察するときに腫瘍とか重篤な疾患をいくつも頭においています。その可能性があればなるべく早く検査を受けていただく必要があるからです。神経痛は原因が特定できない場合のほうが要注意なわけです。
だから、僕たちが坐骨神経痛と聞いたら「果たしてこの人の坐骨神経痛は何から来ているのだろうか」と考えているわけです。
ところが、患者さんによっては坐骨神経痛イコール椎間板ヘルニアだったり、坐骨神経痛イコールぎっくり腰だったり、坐骨神経痛イコール骨の病気だったりするようです。
僕たちは「○○神経痛の症状が出ているようですね」と話したつもりが、「そうか、自分は椎間板ヘルニアなんだ」と思っちゃう人がいて、すぐに「先生、手術ですか。」とか「どのくらいで治りますか?」ってなっちゃうんです。
だからうっかり言えない。伝えるときはなるべくその言葉の意味を説明して患者さんが具体的にイメージできるようにと心がけています。
患者さんの不安を煽らないように、むしろしっかりとした検査と説明で不安を取り除いてあげる。それが僕たち医療関係者に課せられた責務だろうと思います。
今は医療に関する情報も氾濫している時代です。ネットでいろいろ調べられるから非常に便利になったのですが、そういう時代だからこそ、ことばを尽くす医療が必要な気がします。
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