腰の痛みの原因疾患のなかに「仙腸関節障害」というのがあります。
これも前回の「上殿皮神経障害」と同じようにレントゲン・MRI・CTなどの画像所見では「異常がない」見当たらない疾患のひとつです。
症状ではどうでしょうか。下の図をご覧ください。
欄外に書かれているように、赤く塗りつぶしたところが仙腸関節障害の患者さん自身が痛みを感じていた部分で、薄い斜線部分がシビレを感じていた部分です。
重症の患者さんになるとこの赤い部分も斜線部分ももっと広がります。
この図を見るとこの疾患の多くの患者さんがいわゆる坐骨神経痛と診断される領域に痛みを感じていることがわかります。
一見特徴のない疾患に思えますが、細かく疼痛部位を調べていくといくつかの特異的な症状があることに気がつきます。それは、仙腸関節部と坐骨、そして鼠径部の痛みです。
上の図をみていただくと、100症例中94症例に仙腸関節に痛みを感じています。と同時に23症例で、鼠径部にも痛みを感じていらっしゃる。こういう痛み方はかなり特徴的と言えます。さらに6症例と少ないですが、坐骨結節にも痛みを感じている人がいます。臨床ではもっと数が多い印象を受けています。これも他の腰痛症ではなかなかありません。この3つの部位に痛みを感じている場合は、かなりの確率で仙腸関節障害を疑えることがわかってきています。
前回の上殿皮神経障害と同様にこの疾患もエコー検査で関節部に特異的な画像所見が得られることがあります。当院でもこの疾患が疑わしいときは必ずエコー検査もするようにしています。
腰痛はレントゲンやMRIではわからない疾患が多いというのが現状ですが、丁寧な診察と検査を行なえば、画像所見がなくても鑑別することが出来ると言われるようになってきました。
今腰痛患者さんに必要なのはとにかく丁寧な診察と治療です。
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